まれびと


mixiのコミュに紹介されていた
二松学舎大学人文学会
(うーん、微妙な集まり、、)
での中沢新一先生の講演を聞いてきた。

学生はあまり関心がないのか
二松学舎のホールは空いていたので、
いつものように、前から二番目の右側に陣取った。
前の方にいる人の多くは学校関係者か
中沢ファンの一般人である模様。

私はというと、
中沢さんが一人で話すのを聞くのは初めてだし
実は本も結構難しくて
『アースダイバー』以外は
最後まで読みきっていない(スミマセン、、笑)

以前に対談を聞いて、
面白いひとだなあと思ってはいたのだけれど、
とりあえず話を聞いてみて、
前に買った本を再読する気になればいいな、
程度の軽い気持ちで行った。

お話を聞き始めると、
やっぱり中沢さんというひとは凄い人で。
興奮してノートを取りまくった。


内容は、
折口信夫の言うところの
「まれびと」を通しての論で、
詩的、文学的言語の本質は何かという
話だった。


法律で使われる言葉も
文学で使われる言葉も
同じ「言葉」でありながら、
大きな違いがある。

法律に代表されるようなものに使われる言葉は
不要なものを排除し、社会を均質化、安定化し、
社会(今ここにある現世)の中で
コミニュケーションを円滑にするためにある言葉。

文学や詩の言葉は、
人間社会の外部(死者の世界、現世の周りを取り巻くドリームタイム、ほか、、)からの異質なものを運んでくる言葉、
すなわち「まれびと」(宴を催し歌い、踊って迎え入れるべき、たまにしかこない客人)が運んでくる言葉であり、
その言葉によって、安定していた社会は混乱し、
動揺し、機能停止し、心のありようや
世界観を根底から覆してしまうもの。


文芸、文学の言葉や
詩的言語、メタファー(メトノミー)は、
二つの異なる意味言語を結合する。

例えば、詩的言語の原初ともいえる「なぞなぞ」でいえば、
(問) 「め」なのに見えないものは何?
(答)  ジャガイモの「芽」

この場合、「目」と「芽」という一見
何のかかわりもないものを
「め」という音で結合する。

見えない芽、ジャガイモの目という
理解不能な、今までの社会に存在しない
新しい意味を創造することによって、
そこに驚きと喜びが生ずる。

そのように、
詩的言語、文学の言語とは、
二つの意味を結合することによって
新しい意味を生み出し、
強烈なる驚きと動揺を与え、
生の喜びを喚起するものである。

というようなところから、
「虹」という「喩」が文学において
どのような位置づけにあったかという
具体例を引かれ、
万葉集、詩経から井原西鶴に至り、
異界に通じる通路に、
富の源泉があるのではないかと
更に話は発展した。

わたしの拙い言葉を並べるよりは
読みかけだった著書に
再度あたるべきと思われるので
これでやめるけれど、
なにしろ凄まじく面白かった。

最近、自分の中の認知言語学への興味に
倦怠感をおぼえ始めていたところだけれど、
こういう観点から見直せば
「メタファー」にも
何か違った光を当てられるのかもしれず。

賢い人の話は聞くべきである。
世界が変わる。
というか、世界が広がり、世界が異界と繋がっていく。

そういえば、
少し前、詩人の吉増剛造さんの話に
折口信夫が出てきて、
読まなくちゃ、と思っていたところだった。

そんなわけで、
中沢さんや、そのほか私の尊敬する賢い人たちこそが
社会を動揺させ、世界観を揺り動かし、
生の輝きを教えてくれる異界との通路であり、
「まれびと」であるともいえるだろう。








2007⁄06⁄30(Sat) 21:06   もろもろ | Comment(10) | Trackback(0) | ↑Top


Comment

ラバテルで
良いんですが、ネットで検索しても出ないようですね・・・。
改めて調べて見ましたが、日本ではほとんど紹介されていない(絵本)作家のようです。
残念(T-T)。

折を見て直接お見せいたしましょう。
2007/07/08 03:07URL | akiyama[ 編集]

ラバテル?
akiyamaさん、上記探してみたんですが、ネットで検索してもいまいち出てきません。
ラバテルで良いんですか?

2007/07/07 22:18URL | random walker[ 編集]

Re:んふふ
三島ですかぁ、、、
ありきたりですが課題図書か何かで『金閣寺』を読んだきりです。殆ど覚えてないし(笑)きっと今読み返せば新たな視点が持てるでしょうから、そのうち読んでみたいですね。
こちらは現在「中沢新一」&「立花隆」中です。
中沢新一の『精霊の王』は柳田を扱ってるみたいですね。まだ読み始めたばかりですが。面白いです。
2007/07/06 21:51URL | random walker[ 編集]

んふふ
負けませんよ、と言いたいところですが、random walkerさんの学習意欲は強いからなあ(笑)。
でも頑張ります!
現在は三島由紀夫中です。

葬列はね、良いですよ。
「今日 胎盤 明日」で、「僕を食しても植わらない」ですからね(笑)。
着床という言葉はすでに詩的ですが、それを「植わらない」ですからねえ。
感心してしまいます。
2007/07/06 00:29URL | akiyama[ 編集]

Re:先日の
葬列はyoutubeでライブ映像があったので見てみました。なるほど言葉の力が強烈で、面白いですね。

本を買われたとのこと!ファンとしては嬉しい限りです。が、私は先生の「講演」から入ったので、どちらかというと、まずは話を聞くのをおすすめします。勿論、本もよいです。

絶版本をコピーとは、柳田國男には相当ご執心だったのですね。
そうですよ、このままじゃいかんですよ、お互い!悔いのないところまで、興味関心をとことん究めましょうぞ、、、(笑)

2007/07/03 21:34URL | random walker[ 編集]

先日の
コメントの歌は「葬列」というタイトルです。
もう一つ、「サカナ」というタイトルの歌も、さび部分の歌詞は良く出来ています。
蜂飼耳は、「いまにもうるおっていく陣地」という詩集を一冊だけ出版しています。

後はワルヤ・ラバテルの絵本やマグリットの絵画(タイトルのネーミングセンス)なんかも詩的だなあ、と感じます。
個人的な感想に過ぎませんが(笑)。

茂木先生の本は一冊購入しました♪
前が支えてなかなかたどりつきませんが・・・。

柳田 國男は絶版本を大学図書館でコピーしまくったものが未読のまま残っていて・・・、このままじゃいかん!
という感じです(笑)。

2007/07/03 01:41URL | akiyama[ 編集]

かずみんさん、
はじめまして!
昨日は本当に面白い話でしたね〜♪
幸せなひとときを共有できて、嬉しい限りです。

2007/07/01 13:08URL | random walker[ 編集]

私も拝聴しました!
はじめまして!
あの、私、その、一番前の列の一般人ファンです(笑)

賢い人の話は聞くべきである。
世界が変わる。

その通りですね!!!
そして見事な講義録ありがとうざごいます♪


2007/07/01 12:44URL | かずみん[ 編集]

Re:No title
最近、何経由だったか忘れましたが、youtubeでねじめ正一が椎名林檎を解釈している映像を見ました(若干微妙ではありましたが)。実は歌を聞くときはメロディーから入る人間で、JPOPの歌詞に注目したことは殆どなかったのですが、椎名林檎は面白そうですね。
中沢さんも、詩は異界との通路であり今日の論から行けば富の降ってくる場所といえるのに、なぜ詩人は貧乏なのか、、、(笑)というオチで今日の話を終えられてました。

茂木健一郎→小林秀雄→というルートで柳田國男にも関心を持っています。
今週の読売ウィークリーに上記関連の「蛍」の話が掲載されていて、たぶん明日までなら立読みできます(笑)
私はこの蛍の逸話がとても好きで、小林秀雄のこの話が収録されている講演CDを買いました。必聴です。(たしか茂木さんのブログか書籍、『脳と仮想』だったかな、この本、最近文庫化されまして、お勧めです、、、私が茂木先生に出会ってしまった本でして、、に書かれているはずです)

2007/07/01 03:24URL | random walker[ 編集]

うーん
random walkerさんの知識欲には脱帽ですね・・・。
負けていられんなあ。

たぶん、詩、あるいは詩人が、現代においてなかなか「まれびと」としてクローズアップされないのは、単純に詩のパワーが落ちているから、良質の詩が産み出されないからでしょう。

詩の本質の内の一つは、ご指摘の通り、イメージの飛躍(あるいは異なる複数のイメージの結びつけ)です。
「道」と言われた時に、「道路」を思い浮かべるか、仏道などの「ミチ」を思い浮かべるか、といった部分ですね。

J−POPの歌詞を見ていても分かりますが、この詩的飛躍が、今の日本では、身近には驚くほど存在しません。
自称詩人は少数ながらも存在しますが、彼らが書く詩は大体が、「全く飛躍のない、ただの自分の感想」か、「自分の中だけで飛躍してしまっていて、全く共有できない(他者にはそれぞれのイメージを結びつけることが出来ない)」状態か、のどちらかになってしまっています。

僕の気付いた範囲では、椎名林檎と蜂飼耳はなかなかやりますかね。
妊娠したことを「メールが届いた」と置き換えられるのは、J−POPのミュージシャンでは椎名林檎くらいでしょう。
蜂飼耳は、日本語(単語だけでなく、文法や言語学的に捉えた日本語の特徴も含む)自身がもつリズム・音色などを、意識的に取り入れて作詩しています。
たぶん。
機会があればお確かめくださいな。


さて、じゃあrandom walkerさんが折口信夫なら、僕は柳田 國男からいこうかなあ(笑)。
2007/07/01 02:51URL | akiyama[ 編集]

Post a Comment












管理者にだけ表示を許可する


Trackback
Trackback URL


| HOME |

カレンダー

06 | 2008/07 | 08
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
プロフィール

Author:mari teshirogi
基本的に頭は悪いし無知なので、もろもろ勉強中です。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

フリーエリア

ブロとも申請フォーム

おすすめ商品!

ブログ内検索

Powered By FC2ブログ

↑Top



Copyright © 2008 好奇心のランダムウォーク. All Rights Reserved.