カラス


中野の団地に住んでいた
小学校4,5年の頃、
敷地内の木々はまだあまり刈り込まれていなくて、
どこか森のような鬱蒼とした感があった。

4号館の前にはちょっとした家庭菜園が作れるような庭があって
少し高めの街路樹があり。
食欲旺盛だった私は
咎める親の眼を盗んでは
帰路パン屋で買ったクリームパンを食べながら
気分の良い時は
上を見上げながら歩く習性があった。

気の抜けた状態で上を向いて歩いていた私は
突如カラスが頭上にいるのに気がついた。
それまでカラスを間近に見たことなどなかったから
パンを食べながらじっと見た。

カラスは頭上を鳴きながら旋回してから
私の後頭部を2,3回突き、
頭を押さえた私の手から落ちた食べかけのクリームパンを拾って
飛び去った。(と、思う。)

後で考えてみると、
突かれた頭は特段の疵もできなかった程度だから
帽子を被っていたのか、
または
カラスも子供相手に手加減してくれたのかは
定かではないけれど、
鳥というのはおとなしく飛んでいるものというのは間違いで
攻撃してくる存在だと認識したのは
あの時が初めてであって、
いわれのない恐怖を覚えた。

以来、実際問題として
クリームパンを食べながら歩くのはやめることにして
カラスには近づかないようにしつつ今に至っている。

昨日対談を聞きながらそのことをふと思い出して
帰ってからカラスの習性を検索してみた。

カラスというのは
もともと威嚇・攻撃の習性がある生き物らしい。

思えば季節は春を少し過ぎた頃で、
私が何の気なしに見上げてその下を通った街路樹は
割に大きな木であって、
周りに電柱もあったような気がする。
カラスが巣作りしていたとしても
おかしくない。

縄張りを侵す侵入者と認識されて
威嚇されているのに
カラスを下から見上げてしまったわけで、
敵もこいつチビのくせに生意気だと怒ったのかもしれない。
ついでに脂っこいクリームパンも取ってやろうと
思ったのかもしれなかった。

カラスも悪いヤツじゃないのかもしれない。
小さい幽霊がひとつ消えた。











2007⁄12⁄02(Sun) 08:37   もろもろ | Comment(0) | Trackback(0) | ↑Top


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