記憶と創造性


とても忙しい一週間だった。
社内で過労から脳卒中になって労災確定した人が出たせいで
(それで私が雇用されたわけだけど)
残業しないポリシーがしっかり定着している会社なので、
17時以降、1時間以上は残業できない雰囲気である。
でも、毎日毎日ぼくらは鉄板の、というか
受信メールの件数が増えるに伴って仕事が山積していく。
派遣になってから、
就業中こんなにスピードと責任におけるプレッシャーがかかるのは
生まれてはじめてぐらいの勢いである。
それでも最悪18時で上がれる環境はありがたい。



朝カル。
しばらくNatureを読むのをさぼっていた。
やっぱり概要を教えていただかないと歯が立たない。
Perceptual accuracy and conflicting effects of certainty on risk-taking behaviour。
不確実でも高報酬な選択肢と確実だが低報酬の選択肢があった場合、
前者を選べるか否かは認知の正確さによるのではないか、という論文。
こういう科学系の難しげな話を、面白いと思わせてくれるのは
私にとって今のところ茂木先生だけである。
今後は海外進出に力点を置かれるそうで、
せめて英語の著書や講演が理解できる程度の
英語力は身につけたいと切におもうのである。

創造性と「何を思い出せるか」の関係。
目的や脈絡なく、無意識の側からの要求によって
「なんか気になる」という状態にさせられたものを追いかける覚悟が
創造性に関わっているのではないかということ。
アダムスキの態度をクリエイティブと見るかどうか、
プロフェッショナルご出演の看護師田村さんの涙、
そしてカントの言葉、などなど。

以下、Webで適当に探してきたカントの言葉を孫引き。
「事実的内容をもたぬ概念は空虚である。また概念なき感覚所与は盲目である。感性は考えることができない。悟性は見ることができない。両者の結合によってはじめて知識が生まれる」
「エスセティックス(美学)とは「感官的知覚の諸条件を扱う科学」
「我々の心意識の受容性は、心意識がなんらかの仕方で触発される限りにおいて、表象を受けとる能力である。そこで我々がこの受容性を感性と名づけるならば、これに対してみずから表象を生みだす能力、即ち認識の自発性は悟性である。我々の直感が感性的直感以外のものであり得ないということ、換言すれば、我々が対象から触発される仕方以外のものを含まないということは、我々人間の自然的本性の必然的な在り方である。これに反して、感性的直感の対象を思惟する能力は悟性である。感性と悟性……この二つの特性は、そのいずれかを他にまさっているとすることはできない。感性がなければ対象は我々に与えられないだろうし、また悟性がなければいかなる対象も思惟されないだろう。内容のない思惟〔直感のない概念〕は空虚だし、また概念のない直感は盲目である。それだから対象の概念を感性化する(即ち対象の概念に、直感された対象を与える)のも、また対象の直感を悟性化する(即ち対象の直感をそれぞれの概念のもとに按排する)のも、両つながら等しく必要なことである。この両つの能力或は特有な力は、各自の能力を互に交換することはできない。悟性はなにものをも直感し得ないし、また感性はなにものをも思惟できない。この両者が結合してのみ、認識が生じ得るのである。(B75、カント『純粋理性批判』岩波文庫、1961、上巻P.124)」

ヴェニスに死す、ローエングリンのラストにおける
もうなんとも言いようのない胸をつかれる思いは
感性と理性、理想と現実、生と死、その双方が一つのシーンに
おさまること、連結することによって生じる
引き裂かれるような断絶感でもあり、
それが人間の真実に近いものであるにちがいない。

ほぼ2年弱の間、お話を伺ったり本を読んだりして
先生の語り口みたいなものには少し慣れてきた感があるんだけれども、
いやいやどうして、自分は何も分かっちゃいないし、
やっぱり先生はすごいんだよなあ、と、あらためて。





2008⁄06⁄28(Sat) 07:53   もろもろ | Comment(0) | Trackback(0) | ↑Top


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