サボテンとにわとり


なぜかこんな日に限って職場でいただいてしまった
北海道産メロン1個をかかえて、
対決 日本美術の巨匠展に行く。
なにしろ長谷川等伯の松林図屏風は27日までであるからして、
今日行っておかねばならなかった。

到着した時点で既に疲弊しきっていて、
ぼてぼてと館内を歩いて等伯に辿りついたときには長いため息が出た。
ああ、来てよかった、とおもう。
その一角だけは確かに薄靄のかかった松林であって、
自分もその松の中の一本であるような錯覚をおぼえる。
(というようなことがパネルに書いてあって、うまいなあと心中手を打った)
屏風絵というのはふしぎなもので、
今回実物を見るのは初めてで、
いつもは当然ながら平べったくした写真を見ているわけだけれど、
ちゃんと屏風としてじぐざぐに立ててあるほうが、リアルなのだ。

永徳の檜もそうなのだ。
平べったくのばされた写真で見ると、
あれどうしてあんなに無意味に幹が太くて曲がりくねってるんだろ、と
常々不思議だったのだけれども、
Wの字に立ててななめから見ると、
実にうまく枝ぶりが繋がって見えるわけだ。
かえって斜めから見たほうがより自然ではないかと思えるほどに。

そしてやはり、若冲の仙人掌群鶏図襖。
じっと眺めていると、鶏が何か語っているようで。
足を踏ん張って、中空を見ている、その目。
すらりと曲線を描く尾。
ひょいと目があってしまったように正面を向いた顔。
細かな点描から鶏の中に魂が吸い込まれていくようでもあり。
ぐるりと会場を回った後も、何度か戻ってきては、
そこにただ、立ち尽くす。
なんて素敵な顔をしてるんだろう。
そしてなぜか、サボテンと鶏なわけで。

帰りがけ、閉館30分前を切ったというのに、
息を切らせてどうしても見たいんだと訴えている女の子がいた。
汗をぬぐいながら、すいません、おねがいしますと言っていて、
なんだか、とてもいいな、とおもった。
そうしてでも見る意味はあるよ、きっと。






2008⁄07⁄25(Fri) 22:21   もろもろ | Comment(0) | Trackback(0) | ↑Top


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