上昇気流


電車が駅に到着し、ドアが開いて、
夕闇の中でそこだけ明るいホームに足を踏み出した途端、
両手をぱたぱたと羽ばたかせたら
そのまま宙に浮かんで飛んでいけるような気がした。

キケンかもしれない。

イヤホンからマタイ受難曲が流れていたせいにしておこう。
HMVで立ち聞きして思わず買ってしまったブルックナーのミサ曲3番が
強烈だったせいかもしれない。
宗教音楽に独特のこの上昇する感じ。
ふわふわと。

昨日早めに眠ってしまって、
ふと目覚めたらテレビで始まったジョン・ギロックがインタビューに応じて、
メシアンの楽曲は浮世のもろもろから遠く離れさせてくれる
というようなことを語っていたけれども、
これだけ強烈な精神的上昇気流を生じさせる音楽が宗教曲に多いのだから、
やはり宗教の精神性というのはあなどれない、と思う。

ともあれ、
今日は8時過ぎに家を出て(すごい!土曜なのに)
フェルメールを見てきましたよ。
9時20分に到着した時点で20分待ちの列だったけれど、
諸々の画家をすっとばして階上のフェルメールにたどり着いてみると
少し前の牛乳を持つ女なんかとは比較にならないぐらい空いてました。
雨模様だったせいもあるのかな。

光の画家だからあたりまえといえば当り前だけど、
フェルメールの絵には「窓」があるからいいんだよね。
窓のない絵はどうもいまひとつ(笑)
リュートを調弦する女、のまなざしが好きでした。

山手線でぐるりと回って、Bunkamuraで、
コーラスライン再演についてのドキュメンタリー映画。
幼い頃からずっと舞台に立つ夢を追い求めてきたひとたちの生きかたが、
とても爽快で、久しぶりにぼろぼろ泣きました。
思わずサントラを買いそうになったけれど、ぐっとガマン。

それから地下に行って、アンドリュー・ワイエス展。
1年前ぐらいだったか、ユニマット美術館で見かけたのがきっかけで、
(何を見たのだったかしらん、画集だったっけ)
名前と、もっと作品を見たいなあ、とだけ記憶していた。

どこかに書いてあったけれど、ワイエスは秋や冬が好きで、それは
何かが「隠されている」気がするからなんだそうな。
今回は創造の過程というお題からか、完成した作品と習作が並べて展示してあるものが多い。
習作には書かれていた人物が完成品からは消えていたりするのを見ると、
やっぱり「隠された何か」が何なのか、と思いながらワイエスを見ると
なかなか面白いのでは、てな気がする。

「クリスティーナの世界」は実物を一度見たいなあ。
この絵も、クリスティーナが家に向かう背中を描きながら、
彼女が今まで歩いてきた、いわゆる「隠された」道のりを感じさせる
そんな絵であるように思われる。

そこからHMVに行ってCDを買いまして、冒頭に戻る、というわけで。

昨日不覚にも寝入ってしまって最後の5分ほどだけ聞いたのが妙に気になっていた
「世の終わりのための四重奏曲」をこれからかけてみるところ。





2008⁄11⁄08(Sat) 19:01   もろもろ | Comment(0) | Trackback(0) | ↑Top


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